セッションサンプル。其の壱

はいどうも、春分のあまねですよ~お元気かしら??

 

春だと思ったら今日は雪よ。

そして春分は占星術的お正月です。今日から牡羊座の月で新しい年ですねん。

というわけで、おめでとうございます!!

 

・・・・・・・・・よし。

 

ところで私は

「タロットと交流分析を混ぜてやってます~」

なんて説明をすることがあるんだけど、

「はあ?なんじゃそりゃ?」

と思われているので、たまにはサンプルでも載せてみます。

 

相談者は「リコさん」

相談内容に出てくる人物は「麻美さん」

どちらも私と同じ年齢の女性で、去年相談を受けました。

 

相談内容は

「どうして私はこんなに麻美さんがイヤなの?」

とてもとても嫌い、というお話でした。

そして「うまくやってくにはどうしたら良いか」とも。

リ「もうね、彼女がとっても嫌いなの。合わないっていうのかな。彼女を見てるとすごく腹が立って、私にこんな感情があったのか??ちゅうくらい怒りがこみあげてくるの」

 

怒りエピソードを色々と聞きました。

あーんな時にどうしてこんなに怒ったのか分からないくらい怒った。

こーんな時に明確な根拠がないのに腹が立った。

もういなくなって欲しい。とのこと。

 

聞いていると、リコさんは自分の感情を俯瞰して見ることができるので、こんな悩みになった模様。

普通は「嫌いだからもう会わない」で済むところを、

「どうして私は嫌いなのかしら?」となってしまう。

 

しかしこの場合は、嫌いな理由が明確になれば納得するので解決することができます。

というわけで「怒りの理由」を探ることに。 

怒りの分類を聞く

あ「怒りって種類があるんよ。”寂しい”か”悲しい”かのどっちか。どっちだと思う??」

 

リ「う~ん・・・・・”寂しい”かなあ・・・」

 

これはこれで置いておきます。後で解明しますので。

ただ怒りに対するファーストインプレッションを知ることができました。

誰に対する怒りか検討をつける

あ「この怒りの正体は自分でも分からないわけだから、過去に正体がある可能性があるのね。なので、誰に対しての怒りを麻美さんに投影しているのかを探ります。」

あ「つまり、”それ本当は誰に怒ってるの?”ってこと。麻美さんに似ている人で思い当たる人は?」

 

リ「う~んいないこともないけど、ものすごく怒った相手であれば子供の頃かな」

 

あ「じゃあタロットで出してみよう」

 

というわけでタロット引いてみます。

シャッフルしてクロスの上に全てのカードを見えるように並べます。

そんで色の違うカードを引きます。(どうしてかは後で書きます)

 

あ「隠者の逆とペンタクルキングでした。正体は男だね。」

 

ここで私が挙げた人物像は以下のとおり。

・中年男性

・管理職

・若いころ苦労と努力をしてのし上がった人

・社会的にある程度の地位がある人

・お金に困ってない人

・言葉に嫌味がある人

・へんくつジジイ

・守銭奴

・ものの価値を思いではなく物で表す人

 

おそらく隠者は精神面を、ペンタクルキングは社会的な面を表すものと推測。

そして上記の条件にあう人が一人だけいました。

 

リコさんの伯父さんでした。

正体の相手について考える

あ「伯父さんと麻美さんは似てるんだね。つまりリコさんの脳が”麻美さんを伯父さんだと思って怒っている”んだね。」

あ「でも伯父さんじゃないよ?分かるね?言葉で宣言して?」

 

ここで一度宣言してもらいました。

「麻美さんは伯父さんじゃない」と宣言することで、勘違いしている脳に言い聞かせます。

 

あ「伯父さんに対する気持ちを教えて」

 

リコさんに話してもらいました。

子供の頃から伯父さんは両親に対して上から目線で、いつもバカにしていたようです。

カードに出ていたようにお金や社会的な地位のことでバカにするんだと。

それが言い返せなくてすごく悔しかったんだと。

 

子供特有の敏感さで伯父さんが何を言っているのか、

言葉の表面ではなく裏側に伯父さんのどんな気持ちが隠されているのか、

子供のリコさんにはそれが分かっていました。

それが分かっていて言い返せない悔しさをずっと抱えていきたのだそう。

 

ここで怒り=”寂しい”ではなく”悲しい”であることが判明。

自分や自分の大事なものをないがしろにされて悲しい。

これが怒りの正体のようです。

もう一つのルートから怒りを考える

しかし今伯父さんに会ってもはっきりと言い返しているんだそうで。

そして相手をしっかり撃退するまで言い合うことができるんだそうな。

ある意味克服しかけていると言えます。

 

これは伯父さんだけが問題ではなさそう。

というわけで、別ルートも考えます。

 

あ「麻美さんの存在が嫌過ぎるのは分かるけど、具体的に絞ってみよう。どんなところがとにかく気に障るの?」

 

リ「まず話し方が上からのところ。私に命令してるの?!というくらいに決めつけてくる」

リ「それから名刺にたくさん肩書が書いてあるところ。資格をたくさんのっけてるの。でも中身が空っぽでね、話が浅いんだよね。なんかニセモノ感があるの」

 

前者の「上から目線で決めつけた言い方」は伯父さんからの影響がありそう。

注目は後者の「肩書があるのに浅い」「ニセモノ感」かなと思いました。

 

肩書に云々は伯父さんからの影響を引いている可能性はありますが、

「ニセモノ」という言葉は彼女が初めて感情を表した言葉でした。

これがキーワードに近いかなと思いました。

キーワードを探る

リコさんは何度も「麻美さんはニセモノだ」という言葉を使いました。

リコさんの中でキーワードの一つになっているのが「ニセモノ」というワードなのです。

 

ここで怒りの意味の話をします。

あ「さっきの怒りの分類とは別に、”自分には禁止されているけど相手には許されている、だから相手が気に入らない”っていう要素があると怒ることがあるのね。」

あ「たとえば”自分が子供頃自由じゃなかったけど今いる自分の子供は自由にしている。だからわけもなく怒る。”って母親が悩んでいるのは当然。そういうように、自分と照らし合わせて羨ましいところがあるんじゃないかな?」

 

この話をして考えた結果、麻美さんの名刺に書かれている色々な資格が羨ましいのだと判明。

つまり

「麻美さんには資格を取る時間やお金がある。でも自分にはなくて我慢している。」

「麻美さんには好きなものを勉強する自由がある。でも自分は我慢している。」

「麻美さんには他人に指示する自由がある。でも自分は抑えている。」

 

てことが判明しました。

これも怒りの正体の一つです。

対話をする

ここでリコさんのテーブルをはさんで前に、椅子を置きました。

 

あ「じゃあ、麻美さんに言いたい事を言おう。ここに椅子置くから、麻美さんを座らせてみて?」

 

もちろん想像上ですよ。

でも目を開けて、そして座っている想像をしてもらいます。

できない時はぬいぐるみとか壁のポスターなんかを見立てるんですが、

リコさんは上手にできました。

 

リ「今すごい近い距離感で、濃い感じでいるわ。怒りがものすごいこみあげてきた!」

 

あ「怖い?文句言える?」

 

リ「怖くない」

 

それからしばし罵倒してもらいます。

言いたいけど皆の前では言えなかったことなんかを思う存分に言わせます。

ここでも何度も「麻美さんはニセモノだ」と言いました。

キーワードを集める

リコさんが麻美さんに腹が立つのは

・自分にはできないことを許されているのが許せないから

・資格ばかり取っているくせに中身がないニセモノだから

・ニセモノのくせに自分に対して命令してくるから

 

そしてそのベースに

・社会的な地位や肩書をふりかざして自分を馬鹿にするから

があります。これは伯父さんも麻美さんも共通です。

 

これらを総合的に考えると一つの大きなキーワードが出てきます。

これに気付けると怒りから解放されるのですが、

これを本人に気付かせなければなりません。

一撃を探す

あ「今麻美さんはどんな感じ?」

リコさんは椅子に座っている麻美さんに文句を言っています。

 

リ「色々言ったから、かなりカゲ薄くなったわ。さっきまですごい存在感だったけど、今けっこう遠くに行っちゃった感じ。椅子に座ってないよ。あっちに立ってる」

 

あ「じゃああと一言で決着だね」

あ「薄いカゲを消し去る言葉があるよ。思いつく?」

 

悩んでいましたがなかなか思いつきません。

 

それもそのはず、これはなにげない言葉なので自分からは出て来ないのが普通です。

 

なのでタロットで出します。

 

先ほどと同じ様に出したカードは、

「カップクイーン逆」と「ペンタクル9」でした。

相手がいかにも女ですねえ。

 

ここでヒントをあげます。

カップクイーンは精神を表すとしたら、ペンタクルクイーンは物質的なものを表すとします。

カップクイーンはフタ付きのカップで心を抑えているようです。

でも重んじているのは精神性なんだとしたら、

 

彼女が怒っているのは

「物や肩書や社会的な地位でしか人を見ない奴らに腹が立っている」

ので、

「そんなものを持っていなくても、私には価値がある!」

と宣言することが求められます。

 

突き詰めると

「私には価値がある!」

なんです。キーワードは”価値”。

「怒り=悲しい」なのは、自分の価値をないがしろにされて”悲しい”から。

だから「自分には価値がある!」と宣言することで最後の一撃となります。

 

結局最初に言っていた

「うまくやっていくにはどうしたら良いか」

は根本的な問題ではなかったのです。

 

克服した今後は問題なくやっていけるはずなので。

一撃を放つ

キーワードや一撃を探すのはとても大変です。

その一言がリコさんの全ての感情を内包していなくてはなりません。

違った言葉になると、腑に落ちないままです。

これを探すのにタロットが使えるのでとても便利。

 

キーワードは自分で探して出してもらいました。

連想ゲームのように誘導して探し当てさせます。

リコさんが「そうか”価値”か!」となったのでOKです。

 

そして「私には価値がある!」と宣言してもらいました。

ニセモノのおまえにはない!けれど私にはある!

おまえの大したことない肩書きで私の価値を否定するな!

 

リ「すっきりしたし、麻美さんは消えちゃった。」

となりましたので、終了です。

 

あ「今麻美さんを思い出すとどう??」

 

リ「もう何の感情もないわ。怒りもないし嫌いもない。好きもない。気にならなくなった」

 

あ「じゃあ今のキーワードが本当の本当に腑に落ちたのか確かめるね」

 

最後にルノルマンでリコさんの状態を確認します。

出てきたカードは「ヘビ」と「犬」。

犬は私っぽいので、私がヘビ=脅威を追い払った形になりました。

でも彼女のカードは出ていないので、脅威から見えないくらい遠くに行ったようです。

ねらい

一撃の言葉をぶつける方法はほぼ再決断療法です。

誰にでも必ず必要ではありませんが、

今回はこれが適切だと判断しました。

 

彼女は自分ときちんと向き合い、解決しましたが、

それでも何度もこういうことは起こります。

なぜなら、伯父さんに言われて悔しい思いをした記憶は一生消えませんので。

 

記憶は深層に沈んだとしても、まったく無くなるということはありません。

脳が記憶にある伯父さんに似た人を探して

「こいつはあの時の伯父さんだよ!自分を攻撃してくるから怒らなきゃ!」

って焚きつけてきます。

 

しかし何度似たようなことが起こっても、

このことを思い出して同じ様に向き合うことで

自分で「ああ、これって前にあまねとやったアレね」

と気付くことができます。

 

気付けば、過去の記憶に自分が踊らされているのが分かります。

「なんだよコイツは伯父さんじゃないだろ?同一視しちゃダメじゃん?」

自分の脳にこれが言えれば、克服できますので。

その後

最後に出したペンタクル9は、まるで麻美さんのようだったねと話しました。

ペンタクル9の女性は豊かな庭の中にいますが、

ここを出てしまえば何もありません。

 

豊かな財産は遠くに見えるお城の主のものなのかもしれない、と考えると、

手に乗った小鳥のように、飼いならされているのかもしれません。

この点が麻美さんと似ています。

 

名刺にはべらせた資格名が、この庭のようです。

与えられたものであって、麻美さんの実力ではないのかもしれません。

 

小鳥のように、麻美さんはあえて自由にならないほうが幸せなんだろうねえ。

豊かな中にいないと、彼女には価値ないんだろうねえ。

逆に物なんて何の価値もないのに、価値があると思っているんだねえ。

 

そんなことを話しました。

ペンタクル9を麻美さんの象徴だとすると、

おそらく麻美さんの弱点は

「それ取り上げたらあんた何の価値もないじゃん」

だったのかもしれません。

 

仮定の話ばかりなのは、それを確かめることができないからです。

私の任務はリコさんの問題を解決することなので、事実確認はしません。

 

当たっているかどうかというのは事実のみの客観視ですが、

これは必ずしも大事ではなく、

私はあくまで交流分析心理重視なので、

リコさんがどう思ったか、どう受け止めたかを重視しました。

 

もちろんすべての依頼人が当てはまるわけではありませんが、

このケースはこれが適切でした。

 

麻美さんとリコさんの違いは、「どこで価値をはかるか」だったのでしょう。

麻美さんは物や肩書で、リコさんは心で。

この違いがあったために二人が食い違っていたのが分かりました。

 

 

学ぶことの多い、大変有意義な時間でした。

 

 

文中に書いた「後で説明します」は次で説明しますね。

それではまた♪